- この記事を書いたきっかけ
- いわゆるSBI北尾発言について、紹介サイトの言ってること
- 実際の北尾氏のツイート
- じゃなんでこんなことになったか(環の推測)
- 結論 「SBI北尾がTwitterで1XRP10ドル予想と発言」という紹介は間違っている
この記事を書いたきっかけ
この暗号通貨界隈、ネット上には不正確で、時にははっきりと間違ってる情報が垂れ流されているたぬ。
今回の記事のきっかけは、Liquid追証問題についてのとき同様、入門ブログ用記事を書いていたことたぬ。
現在統合されてこのブログに乗っております。
XRPという落とし穴(PART1) 「Ripple(XRP)イケてるぜ説」を善解する - たんたん環のビットコイン
今回はタイトルのように、「SBI北尾がTwitterで1XRP10ドル予想と発言」について調べたぬき。
この「北尾発言」についてはリップルに関心ある人の多くが聞いたことあると思うたぬ。
実際、さまざまなサイトやブログでそれについての記述があるたぬ。多分それらを読んだんだと思うたぬ。
けれども、結論から言うたぬ。
環の結論: 「SBI北尾がTwitterで1XRP10ドル予想」は不正確でミスリーディングな紹介であり、また「SBI北尾がTwitterで1XRP10ドル予想と発言」ははっきりと偽であるたぬ。
それじゃ詳しく見ていこうたぬ〜。
今回、紹介サイトについてはサイト名やURLを伏せて、言及部分だけスクショを貼ってるたぬけど、環は全てURLやサイト名つきのスクショを持ってるたぬ。場合によってはいつでもそれを貼れるたぬ。
いわゆるSBI北尾発言について、紹介サイトの言ってること
「SBI北尾がTwitterで1XRP10ドル予想」という紹介
例えばこのあたりたぬ。
大手紹介サイトK
大手紹介サイトC
・・・どっちのサイトも、この「Smartereum」っていう英語のページをソースに挙げていることを覚えて置いて欲しいたぬ。
ほかにも「Smartereum」を貼って同じようなことを言ってるサイトはあるたぬ。
例えば・・・
一見これは北尾氏の元ツイートを貼ってるからしっかりしたソースになってそうたぬけど、実はこれもミスリーディングたぬ。これについては後で確認するたぬ。
あと、「発信」はきわどい表現たぬけど、善解して「予想」の方に入れておくたぬ。
また、別の英語ページをソースとして似たような紹介をしているサイトもあるたぬ。
「リップルが〜」のとこのリンク先が、画面下に出てるたぬ。この「Legal Gambling」もまた出てくるから覚えておいてねたぬ。
さらに、どうもそのあたりを見て記事を書いたらしい、ソース無しのサイトもいくつかあるたぬ。まあソース無しは論外たぬ。
「SBI北尾がTwitterで1XRP10ドル予想と発言」という紹介
中には「SBI北尾がTwitterで1XRP10ドル予想と発言した」といったふうに紹介してしまっているサイトもあるたぬ。
例えば、
二つともソースがさっき出てきた「Legal Gambling」たぬ。
実際の北尾氏のツイート
さっきから「〜とツイッターで発言」みたいなのばっかで、当の北尾氏のTweetのURLやスクショすら貼られていないサイトまであったぬき。
それらのうち、いくつかのところにはTwitterが貼られてるたぬけど、それらは全てミスリーディングな紹介たぬ。
というわけで、実際に「北尾氏が予想or発言」といった紹介で言及されることのあった当のツイートをご覧あれ。
北尾氏のツイート1
$10 Per Ripple (XRP) And Its Bug Bounty Program @EtherWorldNews https://t.co/dZrf7cxd05
— 北尾吉孝 (@yoshitaka_kitao) April 24, 2018
これは一見「1XRP=10ドル」って言ってるように見えるかもしれんたぬ。実際、様々なところでこのツイートを「北尾のリップル10ドル発言」として紹介されてるみたいたぬ。
でもよく見て欲しいたぬ。
これは「ethereumworldnews.com」というサイトの記事にすぎないたぬ。記事の執筆者も北尾氏ではないたぬ。
つまりこれは北尾氏自身が「リップルは10ドルになるよ」っていってるわけでは全くないたぬ。
北尾氏のツイート2
Ripple Price Predictions XRP/USD 2018 https://t.co/vjI21mBQfX
— 北尾吉孝 (@yoshitaka_kitao) February 13, 2018
これもやっぱり、「ripplecoinnews.com」というところの記事を北尾氏が貼っただけで、北尾氏自身が予測(predications)を発表してるわけでは全くないたぬ。
環も全てのツイートをチェックできたわけではないけど、少なくとも紹介サイトなどで言及されているこれら二つのツイートに関しては「北尾発言」の根拠たり得ないたぬ。
じゃなんでこんなことになったか(環の推測)
こういうわけで、全然裏付けのない情報が流通してるのは何だろうかって考えてみたぬき。
「フェイクニュース」としての「北尾発言」
ここからは推測たぬけど、どうも以下のようなルートをたどって広まったんじゃないかって思うたぬ。
推測される情報流通ルート:
「海外の誤ったソースorフェイクニュースの発信→何かしらの理由で有名サイトがその誤ソースを選んでしまった→無名サイトにソースごとパクられる→みんな確認しないまま拡散」
つまり典型的なフェイクニュース拡散プロセスたぬ。
大元となった二つの英語ページ
すでに指摘したように、上に引用した日本語サイトのうち、ソースを貼っているところではある二つの英語ページにリンクが貼られていたぬき。
そう、「Smartereum」と「Legal Gambling」たぬ。
これらの大元の記事を簡単にチェックするたぬ。
ソース① 「Smartereum」
Yoshitaka Kitao – the CEO of the company, has been bullish regarding a $10 Ripple all year long. He has tweeted several times regarding the price prediction of the coin and is serious about the recent SBI Virtual Currencies trading platform.
太字訳「北尾吉孝は年内に1リップル10ドルとのことに関して強気だった。彼は何度かこのコインの価格予想に関するツイートをしていた。」
'has been'と現在完了なのが気になるかもしれんけど、この記事の最終更新が2019年1月9日で、'all year long'(年内に)がすぎたからだと思うたぬ。
そして、
ソース②「Legal Gambling」
https://www.legalgamblingandthelaw.com/news/sbi-holdings-ceo-forecasts-10-for-ripple-in-2018/
Yashitaka Kitao, CEO of Tokyo based SBI Holdings (Strategic Business Innovator Group), tweeted that XRP will attain a level of $10 by the end of this year.
太字訳「北尾吉孝は年末までにリップルが10ドル水準に達するだろうとツイートした」
さっきの 「Smartereum」が'regarding'とかやや婉曲な表現だったことに比べて、こっちは'tweeted that'となっていて、 「北尾氏自身がthat以下のようにtweetした」といったほぼ直接的なニュアンスになっているたぬ。
だからかな、今まで見てきたように、「Legal Gambling」にリンクを貼ってるサイトは「SBI北尾がTwitterで1XRP10ドル予想と発言」という紹介になったのかもしれんたぬ。実際、「〜と予想」の方で善解した「と発信」て書いてあったサイトも、この「Legal Gambling」の方を参照していたぬき。
・・・でもだいたいこのサイトについて、リンク貼った日本語サイトの人たちは名前からしておかしいと思わんのかなたぬ。
このサイト、「Legal Gambling」たぬよ?つまり「合法賭博」たぬ。
明らかに暗号通貨メディアでも何でもないところたぬ。そんなもんをソースにするなんて環には信じがたいたぬ。
両ソースの共通点
言い回しの違いや、そもそも仮想通貨メディアでもなんでもないかといった違いはあるたぬけど、この二つの英語ページには共通点もあるたぬ。
そう、どっちのサイトも当の北尾氏のツイートを引用もリンクもしていないってことたぬ。
こういう不確かな英語ページから不確かな日本語ページができて、さらにはそのソースすら失われながら誤った情報が流通していった・・・というプロセスが推測されるたぬ。
さっき言ったように、これは典型的なフェイクニュース流通プロセスたぬ。
結論 「SBI北尾がTwitterで1XRP10ドル予想と発言」という紹介は間違っている
さて、ファクトチェックとしては以上でおしまいたぬ。
けども、今後リップルについて考えるために、余談としてもう少しだけ続けさせてくれたぬ。
この結論にはいくつかの示唆があるたぬ。
① そのフェイクorミスリーディングで利益を得ている人物はいないか
もしいるなら、それが好ましくないことについては特に説明を要さないと思うたぬ。
例えば、買い煽りによって売り抜けようとしたり、あるいはマーケットには参加しないけど広告収入を得る目的があったり。
特に前者については、あんまり度がすぎると相場操縦とかで法に抵触するんじゃないかって気がするたぬけど、環は条文レベル*1でしか金融商品取引法を知らないたぬから、判例的にどうかはわからないたぬ。今度、友人の法曹志望者に聞いてみようと思うたぬ。
② 「実際にそう言ったわけではない」ということの方がある意味タチ悪い
今まで見てきたように、リップル価格予想は北尾氏が自分の見解として自分の口でツイートしてきたわけではないたぬ。
それは確かに、あたかも北尾氏の意見かのように、あるいは賛成するものであるかのように、受け取られかねないものではあったぬき。
その点で、今まで見てきた紹介サイトたちが必ずしも自分の利益のために情報を歪曲した(または都合がいい情報を聞いたと思って確認を怠った)のではなく、(実際には間違っているにせよ)本当に「北尾氏が1XRP=10ドルだと予想している」と思った(誤解した)可能性もありうるたぬ。
・・・むしろ、本当のポイントはここにあるって思うたぬ。
そう、これはみんなをそのように誤解させうるとしても、「本当はそうは言ってないよ」っていう言い逃れができるような、思わせぶりなツイートの仕方だったわけたぬ。
北尾氏やSBIはリップルとの結びつきが強いたぬ。
SBIはリップルと合弁会社(SBI Ripple Asia株式会社)もやってるし、2018年に一連のツイートをしていた北尾氏は、翌2019年の4月にリップル社の役員になったぬき。
SBIホールディングス http://www.sbigroup.co.jp/news/2019/0426_11530.html
SBIホールディングス(本社:東京都港区、以下「当社」)は、このたび当社代表取締役社長の北尾 吉孝が米国Ripple Labs Inc.(以下「リップル社」)の役員に就任したことをお知らせいたします。
2018年のツイートの時点でどれくらい密接な関係だったかはわからんにせよ、まあ全く関係ない人がいきなり1年後に会社の役員に迎い入れることは考えにくいたぬ。
そういう、リップル内部と密接な関係がありえて、実際その後は役員にもなる人がこうやって値動きの実態を伴わないような「強気」を示唆し、しかもそれはあくまでも「示唆」であって決して自分の意見としてはっきり表明しているわけでもないというていで行われているわけたぬ。
環はこのようなこういうあり方を、リップル社とその発行するRipple(XRP)について考える一つの材料にしているたぬ。
以上、今回は結構いろんな闇が垣間見えた気がするたぬ。
元々ミスリーディングな情報が、さらにミスリーディングorフェイクな英語ページになって、それが日本語ページに輸入され、各々の段階でソースが失われていく・・・。
正確な情報収集は基本のキたぬ。みんなも批判的に情報と接しようたぬ。もちろん、このブログも鵜呑みにしないようにお願いするたぬ。