べレス&カプラ『デイトレード』
(訳) 林康史, 藤野隆太. 2002;2000, 日経BP.
難易度:☆(初級)
推奨度:☆☆☆
選好度:☆☆
この本は原書2000年、邦訳2002と比較的昔の本たぬ。本の中には電話で株の注文をするなど歴史を感じさせる描写も少なくないたぬ。
でもこの翻訳版に収められた原著第一部、基本的なトレード思考の話は色褪せない重要な教訓がたくさん書いてあるたぬ。まさに古典的名著たぬ。(第二部は具体的なチャート分析をしてるそうだけど翻訳版では全て割愛されてるたぬ。残念たぬ。)
本の冒頭にはこう書いてるたぬ。
「正しい思考が、正しいトレーディングである」 (20頁)
この「正しい思考」がなんなのかっていうのが、この本のテーマたぬ。
ところで、世に出回る多くの初心者向けのトレード本には投資思考とか勝ち組思考みたいなふわふわしたテーマで、どれもこれも似たような独断的で勇ましいことをベラベラ喋ってるだけのどうしよ〜もない本が溢れかえってるたぬが、そういうものに環は懐疑的たぬ。初心者に必要なのはそういう話よりも具体的な知識やテクニックだと思ってるからたぬ。
だから、環はそういう具体的な本こそ初心者におすすめしたいたぬけど、この本は別たぬ。この本には投資初心者が投資で何を考えるべきか、非常に有益な教訓を書いてあるたぬ。この本だけ読んだら「基本的思考方法」の研究は自分でやって、もうそれ以上初心者向けの投資思考本なんて読む必要なんてないんじゃないかという気がするほどたぬ。
いまいったように、初心者には具体的な知識やテクニックこそ必要と思うたぬが、やっぱり基本的な思考方法は身につけないとだめたぬ。そしてそれはこの本(だけ)を読み込めば十分身につくと思うたぬ。
じゃどんなことが書いてあるかは実際に読んでもらうとして、ここでは特に重要なところだけ紹介するたぬ。それはベレスたちが「七つの大罪」と呼ぶ、トレードで絶対にやってはいけない七項目たぬ。
①損切りしないこと: ロスカットを設定せずエントリーしてはならない
②利益を勘定すること: ロスカットと同時に利食いラインも決めておけ
③時間軸を変更すること: エントリーとイグジットは同じ時間スケール上の根拠で行え
ex. 「15分足の逆三尊でロング→下がってきたけど4時間足ではまだ大丈夫...」
④より多くを知ろうとすること: チャートだけを見ろ。
ex. 「決算が良いからロング」「業績いいのに安い理由はなぜだ」
⑤過度な自己満足に陥ること: 大勝したらロットを減らせ
⑥間違った勝ち方をすること: Hoping(上がってくれ〜)とHolding(塩漬け等)で勝ってはならない
⑦正当化すること
どれも当たり前っちゃ当たり前たぬ。
でも、負けてる時のことをよく思い出して欲しいたぬ。環は負け続けていたとき、この本でも推奨されているように。トレード日誌をつけて振り返ったぬき。そしたら、手痛い敗北はこのうちのどっかしらを破ってしまってる時だとはっきりわかったぬ。特に赤字にしておいたところは初心者がやってしまいがちだけど言われないと気づかないかもしれない重要な教訓たぬ。気をつけてくれたぬ。
ただ、④を額面通りに受け取ってチャート以外を全て無視するのはどうかと環は思うたぬ。ロスカットの位置やポジション動向などはやはりチェックすべきと思うたぬ。でも、プレスリリースを根拠にエントリーするな、ということについては賛成したいたぬ。これもやってみたら身に沁みると思うたぬが、環は「好材料でた!この株買おう!」ってやってうまくいった試しなんてなかったぬ。
この本もまた鵜呑みにせず、重要なヒントだと思って自分のトレードを磨いて欲しいたぬ。たぬたぬ〜