たんたん環の仮想通貨NFT

かびたぬと再会する日まで頑張ります

(初級) 森村進『自由はどこまで可能か』"現代の権力行使は課税である"

Bitget

森村進『自由はどこまで可能か リバタリアニズム入門』

 2001, 講談社現代新書.

 

難易度: ☆(初級)

推奨度: ☆

選好度: ☆

 

意外と(?)この本は仮想通貨との関係で読めるたぬ。仮想通貨トレーダーに読んでみて欲しいたぬ。

 

 

 

この本はリバタリアニズムと呼ばれる、ある種の意味(それがどんな意味かについてがこの本の内容たぬ)での自由を重視する政治・経済的立場についての入門書たぬ。

 

ここでは経済的立場について触れたいたぬ。

環は仮想通貨トレードとの関連で二つの箇所に注目したぬき。以下、引用中の強調は全部環によるたぬ。

 

 

 

① 現代における権力とは課税のことだ

  さてさて、トレーダーのたぬきたちは税金に怯えているんじゃないかたぬ。気にしたことないたぬきはこの際だから仮想通貨の税金を簡単に復習するたぬ。(2019年10月現在の情報)

 

まず、仮想通貨での利益は雑所得に分類されるたぬ。 

国税庁「No.1524 仮想通貨を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」

「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf

ビットコインをはじめとする仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要となります。

 

そいで、同じpdfの中で、BTCFXは(普通の外国為替FXのような)申告分離課税にはならないと言われてるたぬ。

仮想通貨の証拠金取引による所得については、申告分離課税の適用はありませんので、総合課税により申告していただくことになります。 (5頁)

 

申告分離課税にならないと、所得税は最大で45%かかるたぬ。住民税10%と合わせると、稼いだ額の55%が税金として支払わなきゃならないたぬ。つまり半分以上が税金でなくなるたぬ。

 

国税庁「No.2260 所得税の税率」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

 

でも脱税は犯罪たぬ。罰金もめちゃめちゃ重いたぬ。絶対やっちゃだめたぬよ。税金はしっかり払わねばならないたぬ。

 

...くそ〜〜って思ったぬきか?税金悔しいたぬか?

そんなたぬきたちに紹介したいのがこの本たぬ。

 

 

まず、リバタリアニズムにとって重要な区別があることを理解するたぬ。

リバタリアンにとって重要なのは、市場と非市場との区別ではなく、市場と社交の両方を含む、民間の領域と政府の領域との区別である。 (森村 107頁)

 

その上で、リバタリアニズムにとっての自由が大体のところどんなものか確認するたぬ。

 リバタリアニズムは強制の欠如という意味での消極的な自由を保護する (同 118頁)

 

つまり、何をしてもいい自然状態だとか、超オレサマ特権みたいなのを主張してるわけではなく、むしろ邪魔されないことを自由だと捉えているってことたぬね。第2章で、リバタリアンのモットーは"Mind Your Own Business" とか "Do not disturb" とかだと紹介されてるたぬ。つまり「放っといてくれ」ってことたぬ。

 

 

そいで、今引用したとこから少し空けて、その強制と自由とがさらにこう書かれているたぬ。

リバタリアニズムが最小限にとどめようとする権力(略)の重要な部分は、裸の実力行使ではなくて課税である。なぜなら課税は(略)経済的自由への制約だからである。 (同 118頁)

 

...つまり、税金を課すことが今日の権力の重要な在り方だとした上で、税金なんか勘弁してくれや、そういう現代の「課税する権力」に抵抗したいっていうのが、リバタリアンの経済上の主張(の一つ)らしいたぬ。

 

もちろん、リバタリアンにもいろんなバリエーションがあるたぬ。課税を最小限におしとどめよう、という立場もあれば、課税するような国など一切認めない、それどころか公的な社会保障や福祉も廃止しろっていう結構激しそうな立場もあるみたいたぬ。バリエーションについては第2章で書かれているたぬよ。ここでは割愛するたぬ。

 

がちぎれる思いをして頑張って仮想通貨で稼いだら最大で半分以上を税金で持っていかれ、そういう重い税の取り立ては完全に合法的に行われ、もちろんそこから逃げて脱税するとさらに罰が加えられる、というのが今の税制たぬ。しかも所得税だけでなく色んな種類の税率が少しづつ引き上げられ、控除も減らせたりしているたぬ。こういうことに疑問をもつたぬきたちには「権力とは課税のことだ」という考えについてどう思うたぬ?

 

②ハイエクの自由貨幣論

第二の注目ポイントはハイエクの自由貨幣論たぬ。

ハイエクはリバタリアンの代表みたいに捉えられることもあるたぬけど、この本の第7章での説明によると、ハイエクの立場は典型的リバタリアンというよりはむしろ特殊なものたぬ。

 

さて、そんなハイエクの主張の一つが自由貨幣論たぬ。

自由貨幣論っていうのは、環はまだよく知らないから勉強しないとたぬだけど、中央銀行が支配的である現行の貨幣制度から離れて、民間で独自貨幣を流通させる...といった考えのことらしいたぬ。

 

...ピンときたぬきか?この考えって、ビットコインのような非中央集権型の仮想通貨にかなり似てるものがあるんじゃないか?たぬ。

 

ハイエクの自由貨幣論に対しては、「そんな価値の保証されてないわけのわからんものは誰も欲しくない。需要がない」といった批判があったらしいたぬ。

 

...またピンときたぬきか?そう、こういう批判はかつての(そして今もある?)ビットコインを嘲笑する仕方と似てるたぬ。

そして、そのビットコインは実際にはどうなったか。1BTC200万円を超える超需要加熱、そのバブル崩壊から再び100万円超の復活をしたぬき(9月末に割れてしまったぬきけど)

 

このことは常識的にありえないと思われた自由貨幣論の可能性を再び考える可能性が出てきたことを暗示しているかもしれないと思ったぬき。

 

ハイエクそのものをまだ読んでないたぬから、玉木のいま行ったことは思いつきにすぎないたぬ。実際の主張はビットコインの思想とは全然違うかもたぬ。でも、少なくとも表面的には似ている可能性がありそうたぬ。今後もう少し読んでみたいたぬ。

 

 

①②どっちの話も、仮想通貨トレーダーには関心あることじゃないかな?たぬ。興味を持ったら読んでみて欲しいたぬ。