ビットコインのOI(建玉)を読む (PART1改)
【更新: 2021年3月 ←2019年10月執筆】
今回はOI(建玉)に注目するという手法を紹介するたぬ。
PART1ではOI(建玉)を見ることの意味と、どうやって見るかのかの基本的な方法を紹介するたぬ。
OI(建玉)とはなにかな?
OI(Open Interest)
OIっていうのは、未決済ポジション=建玉のことたぬ。
つまり、エントリーしてからまだ決済されてない、ロングまたはショートのポジションのことたぬ。
本質的なことではないけど、「建玉」の読み方は「たてぎょく」たぬ。「けんだま」じゃないたぬよ〜。
OI分析は何の役に立つ?
簡単にいえば、OI分析というのは価格変動の燃料を発見することとして役に立つたぬ。
OI情報には何が関係するのか
OIの情報をつきつめると、「誰がいつからどのくらいの価格帯で、買いか売りか、どれだけの量のポジションを持ったままの状態か」がわかるたぬ。
これによって、ビットコインの値動きを、価格チャートだけ使う場合よりはるかに予測しやすくなることが期待されようよ。
もちろん、必勝法とかではないたぬから過剰な期待はしてはいかんたぬよ。
「誰が」「どの価格帯で」かまでいくと結構難しくなってくるたぬけど、「いつから」「どれだけの量の」は比較的簡単にチェックできるたぬ。
このPART1では「どれだけの量の」「買いか売りか」のチェックの話をするたぬ。
ちなみに「どの価格帯で」はPART3を見てね。たぬ。
OI分析のポイントは「反対売買」
なんでそんな風に使えるかということのポイントは、BTCFXの決済は基本的に反対売買によってなされるから、たぬ。
他の投資商品の場合、例えば株の信用取引や石油では、ポジションを現物で決済する、ということもままあるたぬ。
例えば100万円分の原油をショートして、その分を反対売買する代わりに現物で支払うってことたぬ。「現渡し」っていうたぬ。
ビットコインでもたまーにそれっぽい動きがあるたぬ。けれども、ビットコインでは現渡しなどはそんなに頻繁にあるわけではない・・・はず?
ビットコインは採掘コストがハッシュレートがコロコロ変わったり、半減期があったりするたぬから、レバレッジかけてぶち込んだポジション分を数週間後に現物で支払ってチャラにするみたいなことはしにくいはずたぬ。
・・・ただし現渡し・現引きはビットコインでもたまにおこるたぬ。
そういうことをチェックしてより精度をあげたくなったら、PART4を見てね。たぬ。
tanubit.hatenablog.comとりあえず、現引き現渡しは応用的な話としてここでは気にしないでよかろうよ
ショートカバーとロングメイキング
・・・となると、基本的に決済は反対売買で行われるたぬ。
とゆーことは、たぬ。
例えば現在めちゃくちゃ価格が落ちてきていて、ショートポジションがどんどん増えてるとするたぬ。
すると、いつかはそのショートは買い戻されなきゃいけないたぬね?
そして大量のショートを決済するっていうことは、その分買い注文が約定するってことたぬ。
大量に買いが入れば、値段はぎゅーんて上がるたぬ。
それが「ショートカバー」の正体たぬ。
なおロングが積まれすぎたために反対売買で価格が急落することは「ロングメイキング」というたぬ。
仕組みはショートカバーと同じ。
強制ロスカットはポジションが蒸発することではない
そしてこの「反対売買」の観点は強制ロスカット(清算、Liquidation)と密接な関係があるたぬ。
入門たぬきの中には、「強制ロスカットてポジションがなくなっちゃうことでしょ?」って思ってるたぬきもいるかもしれんけど、基本的にそうじゃないたぬ。
強制ロスカットは強制的に成行で反対売買を出されるためにポジションが解消される仕組みたぬ。
そしてみんな知ってるように、成行注文が大量に出されると価格に大きく影響するたぬ。
そしてこのことと、今話した「OIはいつか反対売買される」を組みわせて理解することが、OI分析ではとても大切なことたぬ。
つまり、大量の含み損ポジションは、そのまま損が拡大されるとそのうち強制ロスカットされることになり、強制ロスカットとは成行注文で反対売買させられることなので、価格に強烈な影響を与えるたぬ。
ここまでの要約: 偏ったポジションがある場合、一時的にせよ、その反対方向にぶっ飛ぶ可能性が考えらるたぬ。
ロングが多すぎるなら暴落、ショートが多すぎるなら暴騰たぬ。
もちろん絶対に起こるわけではないたぬ。あくまで、「警戒の必要がある」ってことたぬ。
OIの急増急減にも注意
そんなわけで、OIの急増急減は価格の急騰急落に関係しうるから非常に重要たぬ。
特に、「価格はほぼ横ばいor大して動かないのに、建玉が全然減らない」みたいな状況はぶっ飛ぶ可能性がより高いたぬ。記録にもよく出てくる話だな。tanubit.hatenablog.com
OIをチェックする方法
OIは無料ツールを使ってチェック可能たぬ。いくつか紹介するたぬ。
(1)「BTC情報アラート (@btc_status)」
このTwitterアカウントでは定期的にビットコインの情報が配信されてるたぬ。
その中にはOI情報もあるたぬ。非常に便利たぬから必ずフォローしておくたぬ。
具体例(2019年10月25-26日 急騰)
BitMEX XBTUSD 財布と建玉
— BTC情報アラート📊 (@btc_status) October 30, 2019
財布(保険基金含む):$1.8B
建玉:$761.29M
建玉/財布:42%
建玉/出来高:4% pic.twitter.com/JKrobqKcX8
例えばこんな感じたぬ。
この10月26日頃、大暴騰があったぬけど、注目は上の画像三段目「建玉」たぬ。
この時も、価格はダラダラしていたぬきけど、建玉はめちゃくちゃ高水準だったぬき。
参考: 10月25-26のチャート
・・・ただ、現在このbotで配信されている情報では、Bitmexの建玉は総量はわかっても、それが買いなのか売りなのかはわからないたぬ。どっちなのかによって考えるべきことは全然違うたぬよね?
2021年3月追記:
現在このbotではBinance F、Bitmex、Bybit、FTX、Okex、HuobiのOIの情報が配信されております。
加えて、DeribitのオプションOIも見れる。
最初にこの記事を書いた時よりかなり色々見れるようになりました。ありがとうございますたぬ。
ここでは詳しく載っている、Bitfinexのポジションをチェックして見よう。
🤖 Bitfinex 監視
— BTC情報アラート📊 (@btc_status) October 30, 2019
【BTC】
価格:$9,139 (-0.6%↓)
USD LS:24.6k (-1.6%↓) / 6.2k (-3.4%↓)
USDT LS:3.2k (5.2%↑) / 10 (1%↑)
OI:89.4 BTC (-3.6%↓)
資金調達率:0%
【USDT】
価格:$1.0029 (-0.01029%↓)
売買高:4.5k (83.5%↑) / 6.8k (-5.2%↓) pic.twitter.com/0NSc02SgRl
ここで、もう一つ重要なことを言っとくたぬ。
Bitfinexのポジションはドル建て(BTC/USD)だけでなくテザー建て(BTC/USDT)のポジション量が載っているたぬ。
そして、特に投機的な目線を意識するとき、このテザー建てのポジションはとても重要たぬ。
テザー建てポジションは特に仕掛け的な性格が強く、これ次第で非常に大きな値動きが起こりえるたぬ。要チェックたぬ。
テザー建てについて、詳しくはPART2見てね。たぬ。
・・・その前にテザーが何なのかもよく知らんたぬきは「テザー入門」の記事を読んでおいて欲しいたぬ。
(2) LSチェッカー
(1)と違ってこっちはポジション関連に特化したサイトたぬ。その代わり、1分毎に情報が更新されるたぬ。
このサイトが嬉しい点は、それだけじゃないたぬ。
「ロスカット速報」がついてることたぬ。
これは「いつどのくらいの量のポジションがロスカットさせられたか」を教えてくれているたぬ。
急な値動きがあったとき、それは実質のある値動きなのか(トレンドになりそうか)、それとも単にショートカバーやロングメイキングのような決済だったのかを考える材料になるたぬ。
具体例 (2019年12月4日 急騰)
画像のように、この4日の夜に価格の急反発が見られたぬき。
(このときのOI情報は画像2段目にも乗ってるたぬけど、TradingViewでのOIの見方は次の(3)で説明するのでここでは無視して欲しいたぬ。)
このときLSチェッカーをみると、OI増減は以下のようになってたぬき。
右側、「ショートのポジション合計」の右端を見て欲しいたぬ。
この価格急騰の背景で、崖のようにショートが激減していることがわかるたぬ。
これはショートの反対売買としてのロングによる価格上昇、つまりショートカバーの動きたぬね。
さらにここでロスカット速報も確認すると、よりはっきりわかるたぬ。
これは強制ロスカットされた量なので、価格変動があまりないときは「ゼロ」たぬ。
それに対して、このとき相当多くのショートが強制ロスカットされたってことがよくわかるたぬ。
そして強制ロスカットは成行による売買の強制たぬから、ショートの強制ロスカットは「成行買い」を意味するたぬ。
強制ロスカットとして成行買いが連発されるので、価格は一時的には急騰するたぬ。それがショートカバーたぬ。
こうして、LSチェッカーを見ると、この時の価格上昇は大量のショート強制ロスカットによるショートカバーだったとわかるたぬ。
そしてこれはショートカバーなのだから、その後価格上昇は持続せず、下がって行くことが予想されるたぬ。
実際このとき、急騰後数時間で全戻しで落下したぬき。
二段目の水色のボックスはショート減をあらわしてるたぬ。この見方についてはすぐ(3)でお話しするたぬ。
・・・そんなわけで、こうやってOIをチェックすれば「ショートカバーに担がれてロングしたら即落下で爆死!」みたいなことを防ぎやすくなるたぬ。
(3) Trading View
Trading ViewでBitmexのBitcoin価格に、Bitfinexのポジションを重ねることができるたぬ。さっき(2)ではったチャートの下段の正体はこれたぬ。
TradingViewを使えば、価格チャート見ながらOIをチェックできるので非常に便利たぬ。必ずチェックするたぬ。
設定は簡単たぬ。
まず、「比較またはシンボルの追加」のボタンを押すたぬ。たぬきのヘソみたいなマークのやつたぬ。
すると検索枠が出てくるから、以下の4つを打ち込むだけたぬ。
BTCUSDLONGS (ドル建てロングのこと)
BTCUSDSHORTS (ドル建てショートのこと)
BTCUSTLONGS (テザー建てロングのこと)
BTCUSTSHORTS (テザー建てショートのこと)
これで完了たぬ。色とかはお好みで変えてねたぬ。
Trading Viewのことをよく知らないたぬきは姉妹ブログに書いてある記事を参考にしてくれたぬ。
一点だけ注意すると、Bitmexのチャートは「BTC」と打っても出てこないことたぬ。「XBT」って打つと出てくるから心配なさらんでたぬ。
Bybitは「BTCUSD」で出ますたぬ。
具体例(2019年9月25日 急落)
(1)と(2)は急騰ケースだったので、今回は急落をみようたぬ。
画像は9月25日のチャートたぬ。製作者名が「ponooko」ってなってるけどこれは環のTradingViewのIDたぬ。ポヌーコ...。
まず価格が大暴落を起こしているのはみればわかると思うたぬ。
ここで、二段目のピンクの網がけを見て欲しいたぬ。
ここでは暴落前、ドル建てのショート(BTCUSDSHORTS)とテザー建てのショート(BTCUSTSHORTS)が高水準だったことがわかるたぬ。
そして上段の価格チャートを見ればわかるように、大暴落前から価格はジリ下げを続けていたぬきね?
今回の注目ポイントはこれたぬ。つまり「価格がさがってるのにショートは大して減ってくれない」っていうことたぬ。
なぜか。
ふつう、価格が下がったらショートは含み益が出ているたぬ。
そして、ある程度満足いくくらいの含み益が出たら、利確するはずたぬ。
利確するってことは、その分ポジションは減るたぬ。
だから、価格が下がったことに満足したのなら、ショートポジションは減っていくはず。
にも関わらず、このとき、「価格がさがってるのにショートは大して減ってくれない」。
それどころか、ドル建てのショートに至っては逆に微増してるたぬ。
このことが暗示するのはつまりこういうことたぬ。
ショーターの気持ち「この程度の下げでは満足しねえぞ!」
OI分析から外れるたぬけども、チャート見てわかるようにこのとき巨大な三角持ち合いの限界に差し掛かっていたぬき。
つまり価格チャート上からも巨大な値動きが予想されたぬき。
そしてOI分析に戻ると、どうもOIからはその「巨大な値動き」って下にいくんじゃね〜んかい?というのが環の分析だったぬき。
それが正しい判断だったことはチャートを見ればわかるたぬ。大暴落たぬ。
以上の話は「記録」にも載せてあるから、そっちも見てねたぬ。
BybitでOIアラートを設定できる
Bybitがアプリで提供してるアラート機能はいくつかありますが、OIの変動もアラートを設定できますたぬ。
アプリの下の「アラート」から、「未決済建玉変動アラート」へと進むと、任意の銘柄のアラートを設定できますたぬ。
ビットコイン以外にも、イーサやリップルなどもあるので、各自必要なやつをチェックしておきましょう。
まとめ
以上でOI分析の重要さは伝わったと思うたぬ。
ごくかいつまんで箇条書きでまとめると、
- 偏ったポジションに注意
- 反対売買がポイント
- 強制ロスカットは成行注文
- 価格変動がビミョーなのにOIが積まれてたら要警戒
今回はここまでたぬ。さんきゅ〜たぬこ。
次回、OI分析のPart2としてテザー建てポジションの重要さや実際の例を紹介するたぬ。
テザー建てポジションは仕掛け的なやつを見抜く際に非常に重宝。